医療再生 目次
最終更新日: 2003年07月21日、 アクセスした日: 05月18日
はじめに
どうして医療事故はなくならないのだろう
第1章 揺らぐ安心ネット
ミスの病巣
死亡率突出 - わずか8ヵ月間に手術で6人の患者を死に至らせた医者
運任せ - 日本の医学生は臨床教育時間が短い
立ち遅れ - 未熟な研修医を戦力としている病院
我流の治療
医局制の影 - すい臓がんの手術後死亡率は医師によって 5%から60%
タブー - 自分の病院に内証で高度な技術を見学
欧米と格差 - 米国の標準治療ガイドラインは600以上 日本は10余り
役割を分け、効率化を
「3020運動」 - 紹介率30%以上、平均入院日数20日以下
訓練不足 - 最初の病院は病名の検討すらつけられなかった
家庭医誕生 - 日鋼記念病院が独自に設けた研修コース
小児化の憂鬱
低い収入 - 小児化がある病院は90年代に 14%減
中堅払底 - 小児科医 34千人 高齢化、救急外来のコンビニ化
実質5分の1 - 英国やドイツと比較した小児医療に携わる医師数
救急の落とし穴
危機一髪 - 気管挿管できない医者が1人で当直
腕よりコスト - 2次救急病院は全国に 4千施設
運頼み - 救命救急センター間の治療成績に格差
人手不足の病理
指導限界 - 患者あたりの医師数は米国の10分の1
損得計算 - 標欠率が罰則を受けない範囲なら放置した方が得
ベッド増床に規制の網
立地で壁 - 地域医療計画は競争力のない病院を保護
内容不問 - 急性期・慢性期問わずベッド数だけで規制
脱数合わせ - 診療科目ごとの需給のミスマッチは解消されず
第2章 変われるか病院
「医」の中野組織からの脱皮を
二重構造 - 大学医局が人事掌握
CEOを置く - 組織として意思決定する仕組みがない
縦割りでは限界 - 職員が横断的に協力する仕組みが必要
企業の発想が競争力磨く
赤字克服 - 診療科別の損益管理など企業では当然の手法
医師会反発 - 医療に市場原理はなじまず患者の不利益になる?
姿勢転換 - 企業と組むのは医療関係者にはない発想を学んで将来のサービス競争に備えるため
事故を防ぐ外からの視線
異例の起用 - 患者と接する機会が多い看護師なら患者本位の事故防止ができる
勧告無視 - 医療界には伝統的に相互批判する土壌がない
ミス半減 - 医療事故に関して病院を丸裸にする試み
選ばれるために情報開示
健保動く - 無駄がなく低コストのサービスを提供する医療機関を割り出す
成績査定 - 東京都病院協会が病院機能成果評価を02年4月開始
進む選別 - 情報開示に後ろ向きな病院は取り残される
実力を問われる治療計画
前例踏襲 - 同じ病院の医師なのに治療方針がばらばら
ムダ鮮明に - クリニカルパスをもとに入院日数の短縮に取り組む
説明力 - パスをマニュアル視すると、回復不十分な患者を退院させかねない
改革遅れる公立病院
甘い計画 - 民間企業なら倒産状態
責任転嫁 - 13年連続赤字、累積赤字 25億円
問い直し - 福岡県の県立病院改革小委員会
連携で生きる専門の技
年 1800症例 - 西台クリニック画像診断センター
巨艦主義 - 手用20カ国の脳神経外科医1人あたりの年間手術件数 日本は最低
2人3脚 -開業医と中核病院の専門医が連携して糖尿病治療
質で競争し「負け組」淘汰
構造不況 - 赤字の病院は 66.1%
「集客」工夫 - 百貨店から社員を採用し人事や顧客管理部門に配置
買収リスト - 医療費抑制でマーケットが伸び悩む中で病院は「質で患者に選ばれる」時代に
第3章 「良医」を育てる
現場任せに限界
公的な制度なし - 医師の研修義務
開業医が実演 - パリ市内で開かれた医師生涯教育発表会
不勉強なら淘汰 - 患者が知識を付けていけば
専門医の世界標準は道半ば
資格とり報酬増 - 欧米では一般的
更新も形式的 - 日本の学会の合格率は軒並み 80 - 90%
学会主導に限界 - 心臓外科手術件数が国内有数の 3病院が研修生を公募
詰め込みから臨床重視へ
実習は米国の半分 - 大教室の講義が中心で患者と接する訓練が少ない日本の医学教育
「病院教授」招く - 研究活動が重視され、教育への取り組みや教官への支援が弱い
待ちきれぬ学生 - 授業は病気の説明ばかり このまま医師になるのは不安
競争と予算で研修を活性化
大学病院に集中 - 医局に所属し教授の指示に従っていれば生涯ポストが保障される
義務化を視野に - 研修医と研修病院とを組み合わせる制度 2004年度導入
米国は公費500万円 - 日本の私立大学病院では月額10万円以下
医師免許に安住させない
「人格も検証」 - 米マサチューセッツ州の医師免許登録局は処分を受けた医師を公表
日本は生涯有効 - ドイツの連邦医師会は職業規則に違反した医師を裁く
特区構想が波紋 - 外国の医師免許を持つ人が治療可能に
ベルツの遺訓
「主客転倒」 - 患者が医師に疑問や不安を口にすると冷たい対応に傷つく
対話不在 - 患者に最終的な選択権があることを理解していない医師が多すぎる
人を治す - 患者本位の治療にあたれ
第4章 コスト解剖
30兆円の闇
収入源 - 患者にとって無駄な医療費
205円ルール - 通院患者の薬の約半分にあたる 1兆7千億円分が請求されている
減らぬ日数 - クリニカルパスの導入に取り組んでも収入が減りやめてしまう病院も
密室で決定する診療報酬
制度疲労 - 原価と乖離
名人芸 - この治療法は画期的 単価を高くして普及させましょう
さじ加減 - 「医科点数表の解釈」 最新版は 1,300ページ
不思議の国の薬価
一物二価 - 抗がん剤「メトトレキサート」
米国の3倍 - 心臓血管の拡張に使うバルーンカテーテル
卸抜き - 医療機関と業者のもたれ合いで温存されてきた無駄を排除
実力は二の次、報酬硬直
副業頼み - 研修医にアルバイトを禁止している大学は 2%
評価手探り - 医師の技量や仕事量が病院の収益と一致しないケースも多い
パイ奪い合う - 全国の医師数は 26万人、2025年には 30万人超
「社会的入院」の影
「社会的入院」 4人に 1人 - 医療費 30兆円のうち 1/3 強が高齢者向け
局間対立 - 保険局 vs 介護保険局
巡回検診が効果 - 長野県八千穂村
「先端医療は高価」の虚実
膨らむ費用 - 人工透析 1兆円
意外な数字 - 当初高価でも、普及したら下げてもいいはず
質を吟味 - 英国 NICE 費用対効果で見て適切な医療を実現
第5章 現代病のカルテ
治療長期戦の「習慣病」
子供も糖尿
増える自殺 - 自殺者は 3万人を突破
食事の“実地指導” - たばこ対策も
苦痛なきがん治療、心もケア
QOL重視 - 1人あたりの抗がん剤販売額は 2位米国の 1.7倍
専門施設も - 疼痛の緩和を目的としたペインクリニック
質低下を懸念 - 緩和ケア病棟
惰性の検診は「制度疲労」
異なる基準 - 学会の指標や独自のデータによりバラバラ
効果を疑問視 - 欧米先進国は集団検診を実施せず
減る医療費 - 健診後の健康指導
安心を求めさまよう高齢者
減る「一般」 - 高齢者向けの「療養型」が増加
行き場を失う - 退院後の高齢患者
家族に負担 - 在宅医療に限界
第6章 変わる力学
体質転換迫られる医師会
「自民支持」解く - 医師会が反対した改正健保法が成立
官の攻勢に苦戦 - 開業医中心の医師会
国民の信頼こそ - 若手会員が医師会構造改革
「負担の公正」を失った国民健康保険
未収 9% に拡大 - 約 2,700億円
税金で穴埋め - 国保収入の 6割以上
保険料格差 6.6倍 - 北海道羅臼町
「内弁慶」で視界不良の製薬
「日本製」わずか 3割 - 日本企業のオリジナル新薬
使い方見直し - 1962年制限診療撤廃が医療費高騰の一因
護送船団と決別を - 効き目の疑わしい薬を国が承認し、医師が自由に使う産官医
負担限界の老人医療費
基準額大幅上げ - 健保組合の財政立て直し
無料化が背景 - 1969年 東京都と秋田県が導入
「訴訟も辞さず」 - 拠出金の法的根拠があいまい 健保組合連合会
配分ゆがむ診療報酬
「採算は度外視」 - 使い捨ての医療材料が多い内視鏡手術
質への配慮なく - 日本は看護師の数が主用国で最低水準
国民議論を - 医療に対する国民のニーズ反映
第7章 新技術を生かす
総合力問われる再生医療
骨髄細胞を注射 - 心筋梗塞治療
「暴走」の危険 - 安全性確保が普及の条件
審査や監視必要 - FDAがルール作りに着手
がん治療は国家戦略で
審査 5ヵ月余り - 分子標的薬 抗がん剤「イレッサ」
組み合わせ重視 - 外科医が中心だった日本のがん治療に内科医が参加
医師主導で治験 - 改正薬事法
進む生殖医療と揺れる倫理
増える卵子保存
英仏など法整備 - 日本は公的ルールつくりが遅れている
家族関係に影響 - 夫婦以外の精子や卵子の提供
保険が橋渡し役になるべき先端医療
肝硬変は対象外 - 生体肝移植
財政圧迫を警戒 - 遺伝子治療や再生医療
部分適用の例外 - 手術料は自己負担、検査入院費は保険扱い
第8章 海外に「日本型」を探す
「公」に不安、民間保険拡大
米国は 4千万人未加入
ドイツで公・民格差
選択肢は広がる
患者の選択に重み増す情報
米国などで評価機関 - ニューヨーク州が医師情報公開
英国は格付け公表 - 評価項目は「手術から 30日以内の死亡率」など
国内でも公表へ - 医療機関評価機構 2002年秋から
事故は隠さない
功を焦る医師 - 英国ブリストル王立病院 難度の高い心臓手術
緊急対応に遅れ - 妊産婦死亡症例 37%は救命できた可能性
現場の意識改革 - 教訓から学ぶ姿勢が大切
有効性とコストを検証
開業医に予算枠 - ドイツの医療費抑制策
度々の報酬引き下げ - 米国メディケアの高齢者医療費抑制
根本から見直し - 各国の試行錯誤を検証した上で
企業も「お任せ」脱却
米国大手が結束 - 自動車ビッグスリーの他、GE、IBMなど 100企業
日本でも連合体 - 保険者機能を推進する会
患者主体めざす - 癌と共に生きる会、ニューヨーク医療消費者センター
質伴ってこその「受診の自由」
緊急度すぐ判断 - ER トリアージナース
英米は管理制 - 英国の家庭医
格差広がる恐れ - 手術件数が少ない医療機関は診療報酬 3割減
第9章 日本の医療再生への提言
質を高め「安心」確保
全国の症例集積 - IT使い医療の成績を評価せよ
手順を標準化 - 事故の経験から学び再発防止を
事例集も発刊 - 改善策共有する仕組み作り急げ
「規模の論理」から脱却
ベッド数は欧米の 3倍 - 過剰なベッドを減らし、人手を厚く
技術向上阻む - 医療機関は得意分野を生かし連携
治療方針を共有 - 人材、施設の有効活用を進めよ
患者本位の医師を養成
指導医なき当直 - 研修充実へ指導医の処遇改善を
複線型の処遇を - 医師教育に対する評価を高めよ
家庭医の育成も - 幅広い臨床能力持つ医師養成を
ニーズに対応すべき公的保険
患者負担 35万円 - 費用対効果で適用対象を見直せ
がんを狙い撃ち - 特区利用し高度医療を推進せよ
複数の案を比較 - 社会保障制度全体で将来図描け
不信超え、患者と二人三脚
互いに疑心暗鬼 - 選択できる医療へ情報開示急げ
医師主導に変化 - 患者は治療を医師任せにするな
家族からも相談 - 医師は患者の視線で対話重ねよ
第10章 「医療再生」私案
健保、再編で強化 - 西村周三氏 (京都大学教授)
国民の選択重視 - 坪井栄孝氏 (日本医師会会長)
患者支える視点不可欠 - 鎌田実氏 (諏訪中央病院管理者)
医師採用時に技量把握を - ジョン・ウォーカー氏 (亀田総合病院特命副院長)
医療に誇り持って - 柳原和子氏 (ノンフィクション作家)
巻末資料
市民アンケート
医療制度「将来に不安」 9割
将来像なく不信感
患者行動 - カルテ開示 88% が希望
病院・診療所の満足度 - 8割超す高い評価
制度改革への意見 - 負担軽減を求める声強く
病院・診療所の選択基準 - 口コミ参考、近さ重視
国民の声反映を - 広井良典・千葉大学助教授 (医療経済学)
情報開示が必要 - がん患者支援の非営利組織「ジャパン・ウエルネス」代表、竹中文良医師
病院アンケート
医師数 - 2割が基準達せず
病床過剰に回らぬ手
制度改革への意識 - 高齢者別枠化は、賛否が拮抗
患者へのサービス - 最長待ち時間は、平均 74分
救急医療の人手不足 - 当直医「1人」が 3分の 2、研修医 1人当直 19.3%
空回りする安全管理 - 「委員会へ報告ゼロ」が 2割
情報開示の姿勢 - カルテ開示は 6割止まり
厳しい経営実態 - 公立の 6割程度が赤字
医療制度改革への意見
厚生労働省の医療制度改革試案
医療に関する相談・情報提供窓口
表題
医療再生
副題
ドキュメント「危機」の現場
発行日
2003年 1月 23日
編者
日本経済新聞社
執筆者
木村彰、阪本浩伸、大林尚、塚越慎哉、高木晋、名波彰人、中前博之、堤篤史、前村聡、滝順一、半田裕久、山口聡、田口正則、田村喜信、清水美宏、木原まゆみ、奥野由美子、西村絵
発行
日本経済新聞社 Tel. 03-3270-0251
定価
1,400円 (税別)
ISBN
4-532-31031-8
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