私の本棚 インデックス
最終更新日: 2006年02月19日、 アクセスした日: 10月20日

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医療事故の根絶を目指して (岩瀬 光) 目次 (2006年 2月 19日)

著者は、法学部で「医療訴訟の法律的側面」を学んだことがきっかけで、「医療事故を根絶し医療のうえで生命の尊重を最大限に貫いてゆくために、法律の知識と医学の知識の双方が必要ではないか」と考え、法学部卒業後医学部に入学し医師資格を得るという、異色の経歴の持ち主である。 現在眼科臨床医として、現実の診療技術を向上させながら、同時に医療事故・医療訴訟の分析や弁護士に対するアドバイスを行っている。

本書は、ここ10年以内に確定した比較的新しい医療事故裁判例を分析し、裁判所が医療側の過失の有無を判断する「医療水準」や「説明義務レベル」が年々医療側に厳しくなってきている状況を分かりやすく、教えてくれる。 さらに、新しい「医療水準」へ医療側がどのように対処すべきか、具体的に述べている。 これらの記述は、医療側だけでなく、医療ミスの有無に疑いを持つ患者側にも役に立つ。

眼科に関する具体的な医療事故事例についても、専門的な知識を持たない私たちでも理解できるように、平易な用語で説明がなされている。 たとえば、白内障手術後、不幸にして眼内炎を発症し、失明した 2件の医療事故訴訟を事例として取り上げている。 2件とも同様の経過を辿ったのであるが、1件は患者側勝訴、もう 1件は患者側敗訴に終わった。 この判断の違いがどのように生じたのか、まず医師の視点で病院側の対応を評価し、さらに法律家の視点で裁判官の心証形成を推測しているのは、著者にしかできないことであろう。

本書は、手術を受ける患者が、医療事故から身を守るために、どのような体制の病院を選択するか、リスク管理として読むべき本でもある。 具体的な医療事故事例を見ると、早期に患者の異常を発見し、深夜・休日でも専門医が駆けつける体制が医療側にあれば、医療事故被害を防止できる可能性があったであろうし、また不幸にして医療事故被害にあったとしても、紛争に至らないで解決した事例もあったであろうと予測できるからである。

医療と裁判 (石川 寛俊) 目次 (2004年 7月 28日)

石川さんは、関西では屈指の医療事故を手がける弁護士です。 最近ではテレビドラマ「白い巨塔」の監修を務め、脚光を浴びました。

石川さんほど医療事故訴訟の経験があれば、上段に構えてばっさりと日本の医療システムや裁判制度が抱える問題を切り捨てて不思議はないのですが、そんなふうに本書を書いているのではありません。

医療事故訴訟の中心にどっぷり浸かった自分を外へ外へと引き戻し、医療事故に関わるようになる前に自分をタイムスリップさせ、より読者に近い視点で医療現場や裁判所、そして弁護士 (すなわち現在の自分) を客観視するのです。

「本書を若手弁護士に読んでもらいたい。そして医療事故の患者側代理人となって、一緒に医師と患者との間にルールを確立し、社会や医療の課題に取り組みたい」 という石川さんの思いが溢れてきます。 その思いは、私の思いと同じです。

医者には聞けない インフルエンザ・ワクチンと薬 (母里 啓子、他) 目次 (2004年 5月 31日)

インフルエンザのシーズンは、終わってしまいましたが、昨年は SARS 騒ぎもあり、インフルエンザワクチンを接種した人が多かったようです。 インフルエンザワクチン不足も大きな話題になりました。

しかし、本書を読まずに、安易にインフルエンザワクチンを接種してはいけません。 インフルエンザワクチンの危険度は、昔も今も変わらないのですから。

本書は、インフルエンザ脳症についても解説しています。 インフルエンザに罹患してから処方される解熱剤、特にボルタレンやポンタール等の非ステロイド抗炎症剤系の解熱剤が、インフルエンザ脳症の真犯人である可能性が言及されています。 なぜ、日本だけで、インフルエンザ脳症が多いのでしょう? 安易に解熱剤を処方する治療方法に、問題があるのではないでしょうか。

さらに、インフルエンザの特効薬として注目されているタミフルにも、重大な副作用被害があることが述べられています。

「患者力」で選ぶいい病院 (伊藤 隼也) 目次 (2004年 4月 11日)

私の友人の伊藤さんが出版した 2冊目の医療本です。 伊藤さんが 2002年に出版した「これで安心! 病院選びの掟 111」は、安全な医療を受けるために、患者が「病院のどこを見ればよいのか」、「医者とどのように話をすればよいのか」を教えてくれました。

今回は、もっとストレートに、「どの病院が患者が求めるサービスを提供してくれるか」、を教えてくれます。 病院をランキングする上で、診療満足力、情報公開力など 11の指標を定め、「患者力」というオリジナリティあふれる基準を設定し、第1次調査 (予選) で 500病院から 270病院を選別し、さらに第2次調査 (本選) で 134 の病院を選抜しているのです。

そして、本書のリアリティを高めているのが、豊富な写真です。 すべて写真家でもある伊藤さんが、撮影したものです。 彼は、カメラを手術室にまで持ちこんでいます。

患者の視点で設定した「患者力」という基準。 すべての病院がこの基準で高得点をマークできるようになると、日本の医療も変わるでしょう。

医療事故がとまらない (毎日新聞医療問題取材班) 目次 (2004年 3月 1日)

埼玉医大総合医療センターでの抗がん剤誤投与による死亡事故、東京女子医大病院での人工心肺装置操作ミスによる死亡事故、横浜市青葉区産婦人科医師によって繰り返された産科事故、甲府市産婦人科医療事故訴訟における替え玉証人事件……。

毎日新聞医療問題取材班は、これらの事件の取材をとおして、「なぜ深刻な医療事故があとを絶たないのか」、「なぜ医療事故隠蔽工作が繰り返されるのか」を問い、現状の医療システムの問題を浮き彫りにします。

菜穂へ、そして未来を絶たれた天使たちへ (櫛毛 冨久美) 目次 (2004年 1月 31日)

1993年 2月に生まれたばかりの娘が、うつぶせ寝にされ、2時間以上放置され、亡くなってしまった。 事故直後、助産婦も院長も、窒息死させたことを詫び、反省しているようだった。 ところが、その半年後、司法解剖による窒息死の死因を否定し、「原因不明の乳幼児突然死症候群 (SIDS) だから責任はない」という文書が病院から届く。

頼りにしていた警察の捜査も、検察不起訴となり、重要な証拠となるはずの病院側調書を入手することは適わない。 非科学的な鑑定を平気な顔で提出する学者たち、密室の中で行なわれた犯罪の立証を素人の親に強いる裁判官……。

このお先真っ暗な状況にも関わらず、櫛毛さんは、夫と、仲間と、うつぶせ寝の危険性を社会に喚起していきます。 櫛毛さんの活動のおかげで、何人の赤ちゃんの命が救われたことか。 また、SIDS と言われ、泣き寝入りせざるを得ない状況にあった親を、何人救ったことか。

大きな壁に真正面から立ち向かい、その一角を切り崩した櫛毛さん。 社会を変えようと活動する人々を元気づけてくれる一冊です。

大学病院に、メス! (鈴木 敦秋) 目次 (2003年 12月 30日)

医療事故が発生すると、医師や病院の責任をセンセーショナルに報じておきながら、時がすぎるとともに事故のことを忘れ、また同様な事故が発生すると以前と同じように騒ぎ立てる。 マスメディアの報道は事故の表層をなぞるだけで、そんな取材姿勢では、事故の核心に到達することはできません。

本書の著者である読売新聞社会部の記者、鈴木さんは、医療事故被害者の痛みを通して、日本の医療の最前線を担うはずの大学病院の問題を探り、患者本位の医療を実現させようと奮闘努力する医師たちを見事に描いています。

東海大学病院の点滴事故により愛娘を亡くした菅俣夫妻、大学病院を飛び出し「ブラックジャックによろしく」のモデルとなった南淵医師、医局講座制を廃止し医療事故に対して「隠さない、ごまかさない、逃げない」の 3原則を貫く大島名古屋大学病院長、…… 本書は、彼らの半生記といってよいのかもしれない。 鈴木さんの密着取材ぶりには、脱帽としか言えません。

人はなぜ病院で感染するのか? (太田 美智男) 目次 (2003年 11月 24日)

清潔さに敏感な人には、本書をお勧めできません。 そのような方が本書を読むと、サラダや刺身やハンバーグを食べられなくなったり、おしぼりで身体を拭いたりできなくなったり、流しのスポンジたわしを使えなくなったり、三方活栓の点滴を受けられなくなったり、胃カメラ内視鏡を飲めなくなったりするでしょう。

自ら入院することが多いという太田さんは、業者の清掃後、自分でドアノブや手すりを消毒したり、処置前に太田さんの目の前で看護師や医師に彼らの手指を消毒させたりして、自分の身を院内感染から守るのだそうです。

NO MORE! 医療事故 (後藤 克幸、他) 目次 (2003年 11月 3日)

重大な医療事故が発生すると、蜂の巣を突付いたような騒ぎを起こし、センセーショナルに報道するだけで、何の役にも立たないマスメディアが多い中、中部日本放送 (CBC) は違いました。 相次ぐ医療事故を単なる事件として伝えるだけでなく、「同じ被害が繰り返されないような医療の仕組みを構築すべきではないか」という明確な視点を持って世論に訴える報道キャンペーンを、 2000年 12月から継続し 40本以上のニュース特集と特別番組を放送してきたのです。

その報道プロデューサの後藤さんが、記者とともに本書をまとめました。 本書は、安全で質の高い医療を切望する方に、是非読んでいただきたい本です。 私は、長年医療事故関連の本を読んできましたが、「本書がベスト」と言えるでしょう。

「気胸の治療ミスで死亡」、「小児科医不在の救急病院で死亡」、「ICUで院内感染し 2人が死亡」、「研修医に異なる血液型の血液を輸血され死亡」、「よく似た名前の薬を誤投与され死亡」、「口から飲む薬を血管から点滴され死亡」、「腹腔鏡下手術のトロッカー挿入時、腹部大動脈を損傷し死亡」・・・。

無為無策の医療行政の下、医療事故による被害者は増加の一途をたどります。

院内感染で死亡者を 2名出した「愛知県内の H病院」は、毎月「院内感染対策委員会」を開いていましたが、通常の倍以上のMRSA感染者が出たと報告されても、具体的な対応はしませんでした。 この時点ですでに 1名亡くなっていたにも関わらず。 その12日後、ようやく具体的な対策の必要性に気がついたころはすでに遅く、2人目の死亡者が出ていたのです。

他方、医療事故を減らすための工夫をこらす病院が増えていることも事実です。 医療機器ベンダと共同で誤接続を防止するカテーテルバルブを開発したり、病院の枠を超えて医療ミスを減らすワークショップを開催したり、製造業の品質管理から学んだり。 そのような方策を実行するリーダに密着取材して、書かれた記事は、簡潔にして明解です。 CBCの後藤プロデューサは、このような高品質の記事を書く記者を時間をかけて鍛錬し、チームを作ってきたのだなあ。

私にとって「目からウロコ」だったのは、医療機関の 80% が、「医療事故を報告すべき」と考えていることでした。 私は、それまで、「多くの病院は医療事故を隠蔽したがっている」とばかり思っていました。 が、病院が医療事故を報告しにくいのは、「報告すべき医療事故の程度、基準がなく、報告を受ける行政の窓口も整備されていない。だから報告しようがない」というものだったのです。

本書は、医療側、患者側のどちらに偏ることなく、後藤さんがこれまでの医療記者人生で醸成してきた医療改革の視点で書いた、まさに「最優秀医療事故本」と呼べる本です。

私は、今まで被害者側にスタンスを置いて、医療事故について考えてきましたが、本書を読んで、「いろいろな視点で物事を考えていかなければ、進歩できないな」と反省させられました。

医療制度改革と保険者機能 (山崎泰彦、尾形裕也) 目次 (2003年 9月 15日)

本書は、2000年度厚生科学研究費補助金研究「保険者機能に関する研究プロジェクト」報告書をもとに、その後の制度改革の動向等を踏まえ、加筆修正したものです。 日本の医療制度は現在、いよいよ基本的な見直しの時期にさしかかっており、「医療制度を根本的に見直すための視点が保険者機能である」と言ってます。

まあ、公的機関民営化の流れの中で、医療保険体制のあり方を議論する上で土台となるデータや考え方を本書で整理することができます。

保険者機能とは、「医療制度における契約主体の1人としての責任と権限の範囲内で活動できる能力」であり、それが発揮されるとき「保険者が自立し、医療制度における他のプレイヤー (サービスの受け手・プロバイダー) と直接かつ対等に十分な対話」が実現される、としてますが、保険者に何を求め、何を委ねるか、「患者からの視点」での議論が欠けているのは、どうしたものでしょう。 「患者不在の医療」そのものです。

医療再生 (日本経済新聞社) 目次 (2003年 7月 21日)

日本の医療の危うい現実をおさらいできます。

文藝春秋 02/10月号 医者のからくり (和田 秀樹) (2002年 11月 18日)

精神科医の和田秀樹さんが、5人の現役医師と対談し、日本医学界の腐敗の元凶をえぐりだす。
  • 大学教授は病気を知らない (vs. 近藤 誠)
    • 自由開業医制のもとでは、臨床能力がなくてもいずれ自由に開業できるわけだから、大学では面倒な臨床は学ばずに、研究に没頭していられる。
    • 自由標榜制だから、外科しかやっていない人でも、内科の看板を出そうが皮膚科の看板を出そうが構わない。
    • 出来高払い制だから、どんな検査をしようが、いくら薬を出そうが、構わない。
    • 臨床経験を積んだベテランでも、研修医でも、一律料金なので、いくら腕を磨いたところで面白くない。
  • 専門医が薬害を招く (vs. 別府 宏国)
    • 新薬の臨床試験を行うことが主目的ではなく、それにともなって入ってくるお金が目的になっているから、それほど効果のなさそうな薬でも簡単に試験を引き受けてしまう。
    • 日本では製薬会社から治験計画が出されれば、書類や形式に特段の欠陥がないかぎり、厚労省側からストップをかけられることはない。
    • 薬を使って数字が下がるのはむしろ当たり前のことですが、その数字が下がった結果、何が起こるかと言うことを考えられないのであれば、その人は医者じゃない。
  • 私は年間 300人手術する (vs. 南淵 明宏)
    • 福島県では、昨年 189例のバイパス手術が行われ、それをなんと 12の施設でやっている。1施設あたり 15人。ひと月に 1例前後しかやっていない。
    • 10人が同じ失敗をすれば、10人の犠牲が出る。それを 1人に集積させれば、失敗は 1回で済む。
    • 野球はスピードガンで、球の速い遅いがはっきり出る。日本の医学界は、「スピードガンなんか入れたら、球の遅い人が困るからダメ」というおかしな世界なんです。
  • 国立病院を民営化せよ (vs. 河北 博文)
  • 患者を放り出さない病院 (vs. 鎌田 實)

    これで安心! 病院選びの「掟」111 (伊藤 隼也) 目次 (2002年 10月 20日)

    とても素晴らしい本が出ました !! 伊藤さんは私の友人ですが、掛け値なしに「よくできた本」です。

    「医者が詳しく説明してくれない」 「医者に何を聞いてよいか、わからない」 そんなあなたの悩みを本書は解消してくれます。

    「検査を受けるとき」、「入院するとき」、「手術が必要と言われたとき」など、医者に何を質問すべきか、こういわれたら、どう返したらよいのか、など、実例に即して患者の対応をていねいに指南してくれる、超実用的な本です。

    月刊現代 02/9月号 娘の死を隠蔽しつづける東京女子医大へ (片岡 友伸・京子) (2002年 9月 28日)

    2001年 3月 東京女子医大附属病院で平柳明香さんが心臓手術中のミスが原因で死亡した問題は、医師2人が業務上過失致死と証拠隠滅容疑で逮捕されるという刑事事件に発展しました。

    ところが、そのわずか 10日後に、1歳の患者が同じ病院で心臓手術を受け、手術後一度も意識を回復することなく、同年4月亡くなるという医療事故が発生していたのです。 被害者の両親による告発手記です。

    脳動脈瘤がある人の不安と選択 (前野 一雄) 目次 (2002年 9月 16日)

    取材で受けた脳ドックで直径4mmの動脈瘤を発見され、不安のあまり予防的手術を受けた新聞記者前野さんの記録です。

    私なら、何も症状がないのに脳ドックを受けたりしないでしょうし、放置するより危険の高い手術を受けることもないでしょう。

    何より恐ろしいのは、医療を扱う新聞記者さえ手術に誘導できてしまう、脳外科医による「インフォームド・コンセント」です。 そしてそれを妨げない無力な脳内科医です。

    標準治療 2002-2003 (寺下 謙三 ・ 総監修) (2002年 8月 24日)

    今まで、ありそうで、なかった「標準的な治療のガイドライン」。 66人の専門医 (執筆者リスト付き) が「事実上の標準治療」を示す本書は、「家庭に 1冊」とまでいかないものの、少なくとも地域の図書館に常備したい 1冊です。

    本書は、具体的な薬剤名や用量を記載するだけでなく、「受診のコツ」と称し、病名ごとに入院や手術、薬物の必要性を示してくれるので、悪質な医者から身を守る知識を与えてくれます。

    症状別目次、医学専門用語集、索引などが充実しており、医療に素人である私たちが使うことを十分配慮しています。 医療の進歩に対応し、毎年改訂できるように、応援したい本です。

    1,453ページ、4,762円、日本医療企画 (03-3256-2861)、ISBN4-89041-487-8

    診せてはいけない (森 功) 目次 (2002年 7月 4日)

    医療事故調査会を主宰する森功さんが書き下ろした本です。
    低レベルの医者でも安定収入が得られる現行の医療制度を痛烈に批判。
    よい医者悪い医者の見分け方、病院の選び方、医療事故から身を守る知恵を授けてくれます。

    医療崩壊 (保坂 正康) 目次 (2002年 6月 24日)

    非配偶者人工授精 (AID) について、「日本産婦人科学会の (1) 仲間内で決めたルールは守ってもらわなければ困る (2) 勝手に社会に自らの信念を披瀝して統率を乱されるのは迷惑だ、という態度は不妊医療のより根源的なあり方を問うていく姿勢からほど遠い」と批判。

    文藝春秋 02/4月号 脳ドックに「ノー」と言おう (近藤 誠) (2002年 5月 6日)

    国民死亡原因の第3位である「脳卒中」。 MRI など検査設備の進歩により、「脳ドック」を受け、「無症状性脳梗塞」や「未破裂動脈瘤」を発見できるようになりました。

    しかし、医者から「動脈瘤は毎年 1% 〜 2% の割合で破裂する。開頭手術の危険性は 1% くらい」と言われたら用心しましょう。 総合医学雑誌 (NEJM) に発表された論文によると、1cm 未満の動脈瘤の破裂率は 0.05%。 さらに、脳外科医に絶賛されるほどの医師ですら、15% もの患者に後遺症を与えているのです。

    近藤誠さんは、脳卒中の予防は無理というより「有害」。 動脈瘤や脳梗塞の存在を指摘されるより、脳ドックを受けずに「脳卒中にかかることもある」と観念しながら暮らすことを勧めています。

    現代 02/3月号 薬害ヤコブ病 繰り返された厚生省、学会の「重大犯罪」 (これひさ かつこ) (2002年 3月 21日)

    第2の薬害エイズ事件といわれる薬害ヤコブ病は、汚染されたヒト乾燥硬膜が原因である。 そのヒト乾燥硬膜の臨床試験報告の杜撰さを指摘。

    文藝春秋 01/11月号 (2001年 12月 17日)

  • ポリープはがんにならない (近藤 誠)
    胆嚢ポリープがん化説は、誤り。 胃におけるポリープがん化説は勢いを失っている。

    問題は、大腸ポリープであるが、悪性化は極めてまれ (46病変中 4年で大きくなったのが 1病変)。 それなのに過形成性ポリープとの診断がつけられない医師によって大多数が切除されている。 また放置しないで切除するのは、観察だけだと 15,500円の手技料が切除すると 63,000円に跳ね上がるからではないか。

    患者に対して、内視鏡事故 (穿孔や感染) のリスクを下げるために、「鎮痛剤の使用を断る」、「検査回数を減らす」、「検査を受けるなら朝一番に」、「なるべく生検やポリープ切除を断る」を勧めています。

    文藝春秋 01/09月号 (2001年 10月 27日)

  • 夢の「がん新薬」を採点する (近藤 誠)
    夢の抗がん剤といわれたタキソール (卵巣がん) とハーセプチン (乳がん) は、患者の生存率を向上させるのか、疑問を投げかける。

  • 安心できる全国小児科リスト (恵原真知子)
    母体胎児集中治療室 (MFICU) と新生児集中治療室 (NICU) の両方を備えている総合周産期母子医療センター:
      獨協医科大学病院、自治医科大学附属病院、埼玉医科大学総合医療センター、東京都立墨東病院、恩賜財団母子愛育会附属愛育病院、東京女子医科大学病院、当方大学医学部附属大森病院、帝京大学医学部附属病院、杏林大学医学部付属病院、神奈川県立こども医療センター、聖隷浜松病院、長野県立こども病院、富山県立中央病院、名古屋第一赤十字病院、京都第一赤十字病院、大阪府立母子保健総合医療センター、兵庫県立こども病院、倉敷中央病院、広島県立広島病院、福岡大学病院、久留米大学病院、聖マリア病院

  • 東大病院 乳がん誤診訴訟の意外な展開 (油井香代子)
    「100%乳がんだから手術が必要」と医師に言われ、左乳房全摘手術を受けたが、術後の組織診断でがんではなく、取る必要がなかったことが判明。責任を認めない医者の傲慢さに不信感を覚え、悩み苦しんだ末提訴に踏み切る患者。

    現代 01/08月号 (2001年 9月 1日)

  • 闘う医師・森功が挑む医療過誤ゼロの病院 (中村 尚樹)
    「自分たちが犯している誤りを掘り起こし、問題を分析し防止策をとる」。 医療事故対策の最先端を行く八尾総合病院・森院長の足跡をレポート。 何か間違いが起きると、現場が思い付く対策は「ダブルチェック」。 「それは単に仕事が増えるだけの話。仕事が増えると誤る回数が増えてしまう。仕事を増やさずに確実に誤りを防止する仕組みを考えろ」 と指摘するリスクマネジャは、病院に欠かせぬ存在だ。

  • 患者にやさしいアメリカ医療現場最新報告 (飯塚 真紀子)
    在米日本人医師・看護婦 10名を取材し、日本と違って外部からの厳しい監査・評価の下に質の高い、そして患者満足度の高い医療を提供する米国の医療システムをレポート。 「社会主義的な『医・院同業』をやめて、『医・院分業』にしないと、腕の良さで勝負する医師は現れない。先進国で『医・院分業』を果たしていないのは日本だけ」だという。

  • 代理出産は「神への冒涜ではない」 (根津 八紘)
    日本初の代理出産を助けた根津医師が、マスコミのバッシングに反論する形で手記を公表。 患者のためという信念の下に「代理出産に関するガイドライン」を提示。 頑張れ根津医師。

    文藝春秋 01/07月号 糖尿病のレッテルを貼られた人へ (近藤 誠) (2001年 8月 6日)

    1999年 日本糖尿病学会は、糖尿病の基準値を 空腹時血糖値 140mg/dl から 126mg/dl に引き下げました。 無症状高血糖状態の方は、血糖降下剤による副作用 (低血糖発作、ボケ症状、ノスカールによる肝機能障害、アクトスによる心不全) に気を付けましょう。

    糖尿病患者の医療事故訴訟に関する大学教授による鑑定の問題についても言及。

    文藝春秋 01/06月号 コレステロール値は高くていい (近藤 誠) (2001年 6月 29日)

    日本動脈硬化学会は、血中コレステロール値が、220mg/dl 以上を高コレステロール血症と定めました。 日本の冠動脈疾患死亡率は、米国の 5分の 1。 なのになぜ、米国ガイドラインの 240mg/dl よりも低い基準を設定しているのか? その結果、メバロチン (コレステロール値を下げる薬) は、日本の医薬品で、最も処方される薬であり、年間 1,850億円 (1999年) を売り上げています。

    近藤さんは、研究データを元に 「コレステロール値は高すぎると危ないが、低すぎるのはもっと危険 (総死亡率が高くなる)」 と主張しています。 学会専門家たちが、そのデータを隠す理由はどこにあるのでしょうか?

    ぼくの「星の王子さま」へ (勝村 久司) 目次 (2001年 6月 24日)

    枚方市立病院の杜撰な陣痛促進剤投与による出産事故で長女を亡くした勝村さんは、閉鎖的な日本の医療に挑戦します。

    勝村さんのすごいところは、医療過誤裁判原告として後悔したことを包み隠さず語ってくれることです。 「新たな被害者の参考になるように」という配慮が感じられます。

    あいらぶゆー ねむり続ける君へ (工藤 浩) 目次 (2001年 6月 6日)

    東大病院で、研修医が打った 1本の注射が、三つ子の命を奪い、妻は植物状態に。 これほど悲しい出来事があるでしょうか !?

    この出来事が 毎日新聞の 1面 に掲載されてからしばらくして、著者の工藤さんは、「医者にメス」にメールを送ってくれました。 「一時はマスコミに事件として大きく取り上げられたが、いまは何もなかったかのように、世の中は流れている。記事を是非、医者にメスに掲載して欲しい」。

    医療事故とその被害者の存在を忘れてはいけないのです。

    三度目のガンよ、来るならごゆるりと (梅原 猛) 目次 (2001年 5月 27日)

    日本文化の深層を探り、独自の論を展開してきた歴史学者であり思想家である梅原さんは、ガンを 2度も経験した。 この 2度のガン体験により、「自分の人生を見る目が透明になった」と語る。 75歳を越えた梅原さんのバイタリティたるや凄まじい。 自ら「第2の発情期」と記すとおり、それまでの哲学や宗教、歴史といった分野を越えて精力的に活動している。

    本書の後半は、梅原さんの闘病を支えた 5人の医師の手記で構成されている。 それが、いずれも医学の進歩を礼賛し、患者にガンの早期発見・早期手術を勧めるものばかりなのである。 なかには「胃がん手術により胃が縮小し、成人病予防になる」と、胃を切られた患者の苦しみを理解しない傲慢な発言さえ見られる。 これらの手記が、西洋の生んだ科学技術文明の暗黒面を指摘し、人類の幸福につながる哲学を追求する著者の本意に沿うものか、はなはだ疑問である。

    文藝春秋 01/04月号 医療は今 病院に殺されないために (2001年 4月 29日)

  • 小児科はなぜ激減したか (羽鳥 文麿)
    1999年 杏林大学病院で発生した「わりばし事故」。 危うい小児救急医療の現場に光は差すのか。

  • 高血圧症「3,700万人」のからくり (近藤 誠)
    160 / 95 mmHg だった高血圧の基準が、2000年に 140 / 90 mmHg に引き下げられました。 これにより、高血圧症患者は 2倍以上の 3,700万人に。 製薬企業と医学会の癒着が作り出す医薬市場拡大のからくりを告発。

  • 医療ミス 私たちが書いた 400通の鑑定書 (森 功)
    神戸中央市民病院で発生した決めつけ診断による死亡事故、高岡市民病院で発生したケアレスミスによる筋弛緩剤投与による死亡事故から医療事故発生メカニズムを分析。 患者に 5つのアドバイス:
    1. 標榜科目の多い医師を信用しない
    2. 診療経過を自分で記録する
    3. 日常的にアドバイスを聞ける「かかりつけ医」を見つける
    4. 救急で運んでもらう病院を決めておく
    5. 第3者の医師に「セカンド・オピニオン」を求める

  • 埼玉医大 「抗がん剤で女高生死亡」の闇 (油井 香代子)
    驚くべき低レベルの医療による死亡事件、医療ミスを隠そうとする大学病院。 2000年医師国家試験において、埼玉医大の合格率は最下位でした。

  • 横浜市大「患者取り違え事件」の内部報告書 (入江 吉正)
    1999年 1月発生した取り違え事故における病院関係者を実名で告発。 当時 74歳、84歳だった 2人の患者は、それぞれ 99年 10月、2000年 11月に亡くなりました。

    現代 01/04月号 あえて同業者の「医療犯罪」を糾弾する (南淵 明宏) (2001年 4月 22日)

    第一線の心臓外科医が「横浜市立大学附属病院 患者取り違え事故」「都立広尾病院 消毒薬誤投与事故」「国立大学病院 麻酔導入薬事故」「国立病院 同一医師による乳児への心臓外科手術死 2例」を厳しく糾弾。

    南淵さんは、「医師としての患者に対する基本的なモラルの欠如」「患者とのコミュニケーションの欠落」「明らかに稚拙な技量の野放し」「不祥事を病院ぐるみで隠蔽してしまう体質」が医療事故の源であると指摘しています。

    医原病 (近藤 誠) 目次 (2001年 4月 22日)

    毎年健康診断を受けている方で、自分では異常を感じていないのに、「異状である」と言われ、医者に言われるまま「再検査」→「精密検査」→「投薬または手術」というレールを歩かされている方はいらっしゃいませんか? 本書はそのような方が読むべき本です。

    検査の「異常値」を何の根拠もなく広く設定し、「病人」を作り出す医学会と製薬会社たち。 寿命が延びることが証明されていない治療がなされる医療現場。 そのような中で薬害、医療事故は増えていくのです。

    検査の異常値を適正化し、無駄な医療を減らす (異状でない範囲の治療を保険対象外とする) ことで医療費を削減することも可能となります。

    文藝春秋 01/02月号 インフルエンザワクチンを疑え (近藤 誠) (2001年 3月 17日)

    インフルエンザワクチンは、その有害性により 1994年予防接種法が改正され、「任意接種」になりました。 その結果、ワクチン製造量は激減しました。 ところが、最近インフルエンザワクチンの接種対象を以前の学童から乳幼児や高齢者に広げ、ワクチン製造量を 1980年代の水準に戻そうと、厚生労働省やワクチンメーカーは画策しているようです。

    近藤さんは、 「インフルエンザワクチンは短期的には有効だが、長期的にみると接種しても接種しなくても変わらない」 「インフルエンザワクチンを広めたいなら、くじ引き試験を実施して、その結果をみてからにすべき」 と主張しています。

    近藤さんは、日米欧の各種報告を分析し、どの報告が信用するに値するか吟味しており、実に科学的です。

    人は誰でも間違える (米国医療の質委員会 / 医学研究所) 目次 (2001年 3月 11日)

    度重なる医療事故への対応を、クリントン大統領が「米国医療の質委員会」に求め、そこで作成された報告書を翻訳したものである。

    医療よりも安全対策が進んでいる他産業から安全なシステムの構築方法を学び、9つの提言にまとめている。 が、「自発的な事故報告を開示請求対象としない」という提言については、医療事故被害者として複雑な気持ちにならざるを得ない。

    この提言が、事故原因を徹底的に究明し安全向上を図るために、病院が自発的な事故報告するインセンティブになることは理解できるものの、過誤があったことを被害者に知らせないことに賛成できないからである。

    文藝春秋 01/01月号 「インフルエンザ薬害」から子供を守れ (近藤 誠) (2001年 1月 27日)

    昨年 11月厚生省は、緊急危険性情報を出しました。 「インフルエンザに解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)を使うと脳症が重症化する」というものです。

    近藤さんによると、アスピリンはライ症候群を起こすことが知られており、欧米はより安全な「アセトアミノフェン」にシフトしたが、日本ではアスピリンよりも強力なジクロフェナクやメフェナム酸にシフトし、日本だけに重症なインフルエンザ脳症が多発する原因になっているというのです。

    文藝春秋 00/12月号 「医療ミス」医師につける薬はない (近藤 誠) (2001年 1月 8日)

    都立広尾病院で発生した「消毒剤点滴事故」。 近藤さんは、その事故の元凶が「耐性菌による院内感染等、不利益の多い術後の抗生剤長期投与が横行する日本の医療慣行」にあることを指摘。

    欧米では、術中・術後感染を防ぐために、抗生剤を術前投与し、術後投与を控える手法が確立されているとのこと。 それを適正に伝えない日本の医学会権威の言動には、製薬業界との癒着のにおいがプンプンする。


  • 私の本棚 2000年

    1. 地獄の沙汰も医者しだい (奈良 信雄)
    2. トラウマの心理学 (小西 聖子)
    3. ガンと上手につきあいなはれ (黒田 清)
    4. 医療事故医療訴訟 防止と対策ガイド (柿田 章、他)
    5. 実例に学ぶ 医療事故 (押田 茂實、他)
    6. 医療事故 看護の法と倫理の視点から (石井 トク)
    7. 自分で決定する、自分の医療 (ウィリアム・モーロイ)
    8. 医療事故 (山内 桂子、山内 隆久)
    9. パラサイト・イヴ (瀬名 秀明)
    10. 手術室の中へ (弓削 孟文)
    11. ナースが防ぐ医療事故 (石井 トク)
    12. なぜ医療ミスが起こるのか (今西 嘉男)
    13. ドクターズルール 425 (福井 次矢)
    14. 医療事故で死ぬな! (油井 香代子)
    15. がん病棟の真実 (土屋 繁裕)
    16. 永遠の仔 (天童 荒太)
    17. 介護事故 (民間病院問題研究所 編)
    18. 医者がぼけた母親を介護するとき (米山 公啓)
    19. 誤診列島 (中野 次郎)


    私の本棚 1999年

    1. 介護のあした (信濃毎日新聞社)
    2. 分娩台よ、さようなら (大野 明子)
    3. 告知 (熊沢 健一)
    4. 見慣れた景色が変わるとき (日本ペンクラブ編)
    5. 医師は何をしたか (桐山 やす子)
    6. 手術室の中は闇 (井上 毅一)
    7. 脳死 ドナーカードを書く前に読む本 (水谷 正)
    8. 脳ドックは安全か (山口 研一郎)
    9. 病院に殺される! (別冊宝島 452号)
    10. 臓器交換社会 (レネイ・フォックス、ジュディス・スウェイジー)
    11. やっと名医をつかまえた (下田 治美)
    12. 安全学 (村上 陽一郎)
    13. インフォームド・コンセント (ニール・ラヴィン)
    14. 医療事故 (チャールズ・ヴィンセント 他)
    15. 市場原理に揺れるアメリカの医療 (李 啓充)
    16. 医者が患者をだますとき (ロバート・メンデルソン)
    17. 麻酔とインフォームド・コンセント (小坂 義弘)
    18. レセプトを見れば医療がわかる (勝村 久司)
    19. 「殺人」と「尊厳死」の間で (伊東 政彦)
    20. 患者はこうして殺される (浅山 健)
    21. 医療事故の知識と Q & A (上田 智司)


    私の本棚 1998年

    1. 医者が裁かれるとき (ハロルド・クローアンズ)
    2. インターネットを使って ガンと闘おう (埴岡 健一)
    3. ウソのない医療 (協立総合病院 患者会連合会)
    4. 治る医療、殺される医療 (小野寺 時夫)
    5. 危ない薬 効かない薬 (木村 繁)
    6. 患者が書いた歯医者の本 (宮坂 朝子)
    7. 病院からはなれて自由になる (高橋 ユリカ)
    8. 医療事故法入門 (古瀬 駿介 ・ 吉川 孝三郎)
    9. 医者があなたを病気にする!? 医原病 (地域医療評議会)
    10. 治せる医師 治せない医師 (バーナード・ラウン)
    11. 減胎手術の実際 (根津 八紘)
    12. なぜ、ぼくはがん治療医になったのか (近藤 誠)
    13. 凍れる心臓 (共同通信社社会部)
    14. 生きるために 医療が変わる (丹羽 雄哉)
    15. 払いすぎた医療費を取り戻せ (勝村 久司 編著)
    16. アメリカの医療告発 (市民医療協会)
    17. アトピー治療最前線 (NHK取材班 編)
    18. 医療ビッグバン (西村 周三 監修)
    19. カルテとレセプトがわかる本 (結城 栄一)
    20. 自分の体は自分で守る 患者学 (前納 宏章)
    21. カルテ開示 (患者の権利法をつくる会)
    22. 心なき医療 その後 (久能 恒子)
    23. お前は忘れても、俺は忘れへん (家西 悟)
    24. 奪われた記憶 (是枝 裕和、「世界」1997年7〜8月号)

    私の本棚 1997年

    1. 病める医療 (日本経済新聞社編)
    2. 裁判の秘密 (山口宏、副島隆彦)
    3. 医療 法律カウンセリング (城戸浩正、森谷和馬、伊藤まゆ)
    4. 医者と患者の法律相談 (石原 寛 編)
    5. 医療事故110番 (医療過誤問題研究会編)
    6. 医療過誤から患者の人権を守る (加藤 良夫)
    7. 薬害はなぜなくならないか (浜 六郎)

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